〈セルフレジ〉の葛藤

財布の中の小銭をできるだけ減らしたいという思いから、買い物の精算をする際におつりの硬貨が少なくなるよう暗算してから1円や10円を足して支払いをする方は多いようです。

ところが数年前から導入された〈セルフレジ〉というもの。これはまことに画期的なもので、先日コンビニエンスストアで買い物をしたときのこと、レジ待ちの客が多くいたため、それまで習慣にしていた小銭を減らす暗算をしないで財布の中にあった硬貨10枚ほどをすべて〈セルフレジ〉に投入すると、おつりの硬貨が希望通り最小限の枚数で返ってきました。当たり前のことです。しかしながらそれまで頭の中でパチパチと算盤を弾いてから小銭を取り出していたことを考えると、〈セルフレジ〉とはまたなんと便利なものかと感心しました。

と同時に10年以上も前に、とあるコンビニエンスストアで見かけたあの光景のことも思い出します。

商品を持ってレジのところまで行きますと、若い女性客が先に会計をしています。ふと目の前の様子をうかがっていると、レジに表示された請求金額『756円』に対して女性客は迷うことなく財布から『1,311円』を取り出し店員さんに渡しています。
(756円に対して1,311円?)
これには店員さんも不思議そうな表情をしていましたが、そのままレジに金額を打ち込みますと、表示されたおつりが『555円』。硬貨はたったの3枚です。女性客がこの計算を瞬時に暗算していたことにとても驚かされた出来事でもあります。

さて話しを戻しまして、人に優しくとても便利な〈セルフレジ〉ではありますが、その登場によって日常生活において〈暗算〉するという唯一の機会すらついに奪われてしまったともいえます。とくに私たち中高年世代は便利さばかりに甘えることなく、おつり『555円』を導き出せるよう頭をフル回転させることも大切かもしれませんね。

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