ANAと波平のchoron

私の母方の祖母は、12人兄弟でした。岐阜県白川村(下流には白川郷があります)という所で大正時代に寺に生まれ、兄弟の下から2番目でなかなか大変な幼少期を過ごし、若い頃は奉公にも出されていたそうです。そして当寺に嫁ぎ、御母衣ダム建設により移転という、時代に翻弄される縁にも出遇いながらの人生でしたが、お念仏ひとつを喜ばせていただく身でその生涯を終えていきました。

そして今から40年近く前、まだ祖母も生前時、その従兄弟同士で従兄弟会を結成し何処かに旅行に行こうということになり、北海道に飛行機で行くことになりました。

従兄弟と言っても12人兄弟の子供同士や縁者なので、厳選の上、参加者総勢大型バス一台でそれがほぼ満席状態の中、私は祖母の代わりに行くことになり、丁度飛行機の隣席には、60代後半の祖母の直ぐ下の田舎育ちな弟さん(大叔父)が座ることになったのですが、

この方がすでに少しお酒を飲んでいたせいか「俺は昔、飛行機乗りをやっとった事があるで、よう知っとるがこんな重いもんが空を飛ぶことはあることでないと飛行機乗りの衆が言っとった」などと、のたまいながら、「なんまんだぶ、なんまんだぶ、なんまん・・」と凄い勢いでお念仏を称えだす始末。だいたいこの大叔父は誰に聞いても「飛行機乗りどころか馬車すらも操った事ないくらいやぞよー」てなくらいで、この話も一流のホラであることや、どうも飛行機も初めてである事がわかり、私は「これだから田舎育ちで飛行機初めての人は困る」などと自分も田舎育ちで飛行機初めてなくせにそんな横柄な事を思っていました。

まあそれはそれANAにこの身を任せるとして、音楽でも聴こうかと思いふと見ると前座席の物入れにイヤホンが消毒済袋みたいなものに入って用意されてあったので、それを使って音楽を聴いていると、ある事に気付きました。前方の席を見渡しても誰も音楽を聴いてないのです。

ハッとして今はまだ聴いてはダメな時間と思い、イヤホンを外しましたが音楽は確かに流れているし、やはり聴くことにしました。しばらくするとCAの方が機内サービスで飲み物を配布しに来られました。そして私の座席に差し掛かった時、こう声を掛けられました。「お客様イヤホンが逆でございます」と・・・・・

慌て左右をはめ直そうとすると「いえあのう違いまして」と再びCAの方。エッと思い横を見ると、さっきまでお念仏を強烈に称えていた飛行機初めてという田舎育ちの大叔父もイヤホンをしており、その姿を見た時すべてを察知しました。

なんと大叔父はイヤホンを下側から両耳にはめていたのです。

ひるがえって私ときたらヘッドフォンの様に頭の上側から両耳にはめ、聴診器が如くその真ん中から出てるコードは私の頭頂部からまるでサザエさんのお父さんの波平さんの頭髪のように一本だけchoron(ちょろん)と垂れ下がり、それを座席のジャックに接続させていたのです❗(まさかの上下逆か〰️❗)

どうりで見渡しても誰も聴いてない様に見えたはずで、他の乗客も下側から両耳にはめていたのです。(どれだけの時間装着しとったんや~〰️❗恥ずかし〰️)(;´д`)

当時、二十歳位の我々の様なNOWなヤングは、聴診器みたいなイヤホンを見たらヘッドフォンの様に上側から付けるものと誰もが思っていましたが
(お前だけじゃ~〰️❗)

そんな先入観を打ち破るANAの素晴らしい発明に敬意の念を抱いた、そんなひとときを過ごさせていただきました。皆さんも今後どの航空会社も同じであろうすべてに行き届いた快適さの中、空の旅をお楽しみいただきたいと思います。m(__)m

ただし、イヤホンにはattention please 合掌

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