カシューシャと呼ばれた子

私が通っていた中学校は、3校の小学校の学区から生徒が通っていました。そして、私とは違う小学校出身でその中学校に通っていた男の子に「カシューシャ」と呼ばれている子がいました。

今でこそ、その呼び名ですと本名である可能性も高いですが、当時ですと、これはアダ名だと直ぐにわかり、変わったアダ名だと思いました。大体アダ名なんてものは、本人にとっては困ったもんだと思うようなコミカルな感じが多い中、このカシューシャというアダ名はコミカルさなんて微塵も無く、むしろ気品さが漂い インテリジェンスも共存する、そんな響きが感じられました。

その子の容姿もその名にまさに合致し、身長は普通くらいなんですが、いわゆる八頭身でイケメン、今で言うジャニーズ系風でありおそらく女生徒の間でも好意を持ってる子が多々いたのではないかと思われる程でした。

なんと言っても「シャ」という音がスタイリッシュさを醸し出していて、豪奢などの言葉の中にも「シャ(奢)」という漢字が使われているようにゴージャスさも相まって誠に異空間を行く感じがあり、元レアルマドリードのジダン選手のドリブルを見てる様と言えば、わかっていただけた方は少ないと思います。また異空間と言えば宇宙空間、宇宙空間と言えば我々世代はアニメ機動戦士ガンダムです。

そのアニメに「赤い彗星」と呼ばれるシャアアズナブルというこれまた貴公子が登場してまして、このシャアアズナブルもすごくイケメン&インテリジェン&ジェントリーであり、この名前にも「シャ」という音が入っています。そして架空の人物とはいえ昔の「あしたのジョー」に出てくる力石徹がごとき人気の高さで、その人気は現在も衰え知らずな程です。

そんな「シャ」という音が入るカシューシャの雰囲気はまさに貴公子、その子自身のミステリアスさも手伝って別次元の様相を呈していたように思いました。

さて、ある時カシューシャと呼ばれる男の子と同じ小学校だった仲の良さそうな子に、何故そう呼ばれているのか理由を聞ける機会が巡ってきました。

その話によると、カシューシャが小学校の時、自転車を全力漕ぎする際、チェーンかペダルクランクがカバーに擦れて大きな音が「カシューシャ!カシューシャ!カシューシャ!」と鳴っていたことから、カシューシャというアダ名が付いたとの事だったのです・・・

なんと申しましょうかこの時の気持ちを表すなら、関川沿いの平田ラーメン屋で主のおじいさんに「塩せんべいが5枚余っとるけどまだ一等が出てへんで残っとるその最後のクジは一等やわぁ」と言われて10円払って引いたらハズレやったときの感情に似てると言ったらいいのか(そんな例えでわかるか~〰️❗️)なにせ私のその子を見る目の急激な鎮静化具合が皆さん想像できますでしょうか?

インテリジェンス、ゴージャス、ジダンのドリブル、赤い彗星シャアアズナブル、何処行ってもうたんや~〰️!?

全てが走馬灯の様に脳裏に浮かんだ後フェードアウトしていきました。人間はどうしてもイメージが先行してしまいますが、こういう事もあるということです。気を付けましょう。

合掌

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