シネマ感想文21 〜この声は?

私たちシニア世代の若かりし頃というのは、映画観賞といえば映画館で観るよりもテレビ放映で観ることのほうが圧倒的に多かった時代でもあります。そして当然のことながらテレビ放映されるハリウッド映画などの海外作品は日本の声優や俳優が海外スターの声を吹き替えすることになります。そして当然のことながら当時の私たちは「やっぱりこの俳優の声はこの人の吹き替えに限るよね」という話題で盛り上がるわけであります。

筆頭はクリント・イーストウッドの山田康雄さんで間違いありませんね。『ダーティハリー』の中で「何様のつもりだ?」と言われて「イカサマだ」と答える山田康雄さんの台詞は完全にオリジナルを凌駕しています。

まだまだあります。古くは『刑事コロンボ』ピーター・フォークの小池朝雄さん、『刑事コジャック』テリー・サバラスの森山周一郎さん、『ベン・ハー』チャールトン・ヘストンの納谷悟朗さんなどは他の声ではあり得ませんね。

どんどんいきます。やはりハリソン・フォードは村井國夫さん、ブルース・ウィリスは野沢那智さん、マイケル・J・ファックスは三ツ矢雄二さん、シルベスター・スタローンは羽佐間道夫さん、エディ・マーフィーは下條アトムさんなどなど。

そして誰もが納得の吹き替えといえばジャッキー・チェンの石丸博也さんですね。石丸さんの吹き替えはもはやジャッキー・チェンよりもジャッキー・チェンといえそうです。

しかしながら当時の私たちの間で最も優れた吹き替え版として選ばれた映画はこの一本でした。

『Mr.Boo! ミスター・ブー』
(1976年、香港映画)

主演のマイケル・ホイの吹き替えをした広川太一郎さんはお見事でした。吹き替えでダジャレを連発するということは、もはやオリジナルの台詞は無きものにしていたということです。もし機会がありましたら吹き替え版の『Mr.Boo!シリーズ』を是非ご観賞ください。

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