ラブレター

ネット社会の現代においては〈ラブレター〉とはもはや死語になりつつある言葉かもしれません。しかしながら愛する人を想って言葉を紡ぐ時代おくれなラブレターだからこそ私たちに多くの感動を与えてくれるともいえそうです。今回はそんな心温まるラブレター2通を紹介してみることにします。

『世界一短いラブレター』

ー 1956年に日本の南極観測隊は、-45度、風速60m以上という過酷な環境の中で昭和基地を建設。そんな過酷な環境の中で隊員達の唯一の楽しみは、お正月にだけ届く家族や奥様からの電報。色々な電報が届く中で、隊員達みんなが涙を流したというある隊員の奥様からの電報はたった3文字。

「ア・ナ・タ」

わずか3文字の中にさまざまな想いが詰まっていることが想像できます。多くの言葉を並べるよりもかえって美しいともいえますね。そしてこの話にはオチがあり、本当は電報を打った奥様は「アナタサケヲノミスギルナ」と打ちたかったそうです。心温まるエピソードですね。

『マハシャイ・マミオ殿』

「偏食・好色・内弁慶・小心・テレ屋・甘ったれ・新しもの好き・体裁屋・嘘つき・凝り性・怠け者・女房自慢・癇癪持ち・自信過剰・健忘症・医者嫌い・風呂嫌い・尊大・気まぐれ・オッチョコチョイ・・・。きりがないからやめますが、貴男はまことに男の中の男であります。私はそこに惚れているのです。」

ー 作家・向田邦子さんのエッセイ『眠る盃』に収められている短文ですね。相手の男性の性格的短所をこれだけ並べ立てられるということは、とにもかくにも、その相手を愛している証拠ともいえます。そうでなければここまで観察できるものではないでしょうから。そしてこれほどまでに愛されたお相手、マハシャイ・マミオ殿とは彼女が飼っていた雄ネコのことだそうです。

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