十二月の仏教

2023年もいよいよ残すところあとひと月。その残る12月を迎えると巷はクリスマス一色となります。さりとて12月の和風月名の師走(しわす・しはす)という言葉の由来が「師匠である僧侶がお経をあげるために東西を馳せる月であることから」といわれるように、じつは12月という月は私たちの仏教にも大いに関わりがあることをご存知でしょうか。そんな「十二月の仏教」を今回はいくつか紹介してみることにします。

12月8日『成道会(じょうどうえ)』

ー お釈迦さまが35歳の12月8日に暁の明星をご覧になって悟りを開き仏陀になられたとされる、つまり仏教の教えが生まれた大切な日としてこの日を称え、曹洞宗などの禅宗や浄土宗の各寺院で営まれる法要、行事のことですね。仏教には「三仏忌(さんぶっき)」といわれるお釈迦さまにゆかりのある大切な三つの忌日があり、その忌日に営まれる法会(ほうえ)のことを三大法会と呼び、その一つがこの〈成道会〉になります。他にはお釈迦さまが80歳で入滅された日とされる2月15日の〈涅槃会(ねはんえ)〉、そしてお釈迦さまの誕生日である4月8日の〈灌仏会(かんぶつえ)=花まつりとも呼ばれる〉があります。

12月20日『お煤払い(おすすはらい)』

ー 真宗大谷派本山、東本願寺で催される年末恒例の行事ですね。ご本山の職員のみならず全国各地のご門徒が参加して行われ、御堂に参加者が横一列となって一斉に割り竹で畳を叩き、浮き上がった埃を2メートルもある大うちわで外へあおぎ出します。この様子は年の瀬の京都の風物詩として毎年ニュース映像などでも取り上げられます。

12月24日『納めの地蔵(おさめのじぞう)』

ー 道端や墓地、寺院でもみられるお地蔵さま=地蔵菩薩の縁日は毎月24日、その一年の締めくくりとなる12月24日は〈納めの地蔵〉といい、年始の〈初地蔵〉と並んで通常の縁日以上ににぎわいます。そして〈納めの地蔵〉といえば通称・鈴虫寺として有名な京都・華厳寺ですね。鈴虫寺では「大地」を象徴する仏さまであるお地蔵さまにちなみ、大地に根をはり大きく育つ大根を焚いてお地蔵さまに感謝する〈大根焚き〉が催されます。

12月31日『除夜の鐘(じょやのかね)』

ー 除夜とは大晦日の夜、深夜0時をはさむ時間帯に寺院の梵鐘を撞く風習のことですね。〈除夜の鐘〉は多くの寺院で108回撞くものとされこの数の由来には諸説あり、人間の煩悩の数とする説、四苦八苦の意味で四九(36)と八九(72)を足したものとする説などがあるようです。〈除夜の鐘〉はもとは禅宗寺院の伝統行事でしたが、昭和初期のラジオ中継を通して日本全国に広まったといわれます。なお真宗大谷派本山の東本願寺では親鸞聖人のお教えの解釈から除夜の鐘は実施しておりません。

鐘の響きにゆく年くる年。
ひるがえれば一年は鐘の音で始まり、鐘の音で終わる。なんともいえない趣きのある日本の仏教文化でもありますね。

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