夏休みと「お経」〈後編・仏説阿弥陀経〉

小学五年生の夏休み。頭髪を丸めてご本山(京都・東本願寺)で得度式を修めたのち、ご門徒のお盆経参りをさせていただくことになり、このとき初めて覚えるとともに、何度も何度も繰り返し習って読誦することになった「お経」が『仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)』でした。

仏教におけるさまざまな経典は、お釈迦さまの説法のみならず、その弟子たちによって8世紀頃まで生み出され続けたといわれます。そして浄土真宗の教義のよりどころとされる経典が、法然上人が選定された「浄土三部経」といわれる三種の経典、『仏説無量寿経(ぶっせつむりょうじゅきょう)』、『仏説観無量寿経(ぶっせつかんむりょうじゅきょう)』、『仏説阿弥陀経』ですね。そしてこの内、お月参り、お盆経の際にもよく読まれる「お経」が『仏説阿弥陀経』になります。

今回も、『仏説阿弥陀経』の冒頭を現代語意訳してみますと、

「如是我聞(にょぜがもん)」
ー わたしはこのように伝え聞きました。

あるとき、お釈迦さまは祇園精舎におられました。千二百五十人もの素晴らしい修行僧、舎利弗(智慧第一)、摩訶目犍連(神通第一)、摩訶迦葉(頭陀第一)、摩訶迦旃延(論議第一)といった優れた人たちとともに。

やがて、お釈迦さまが弟子の中の長老である舎利弗に呼びかけながら、阿弥陀仏と浄土について説いていかれるのですが、この『仏説阿弥陀経』の中でお釈迦さまは、「舎利弗よ」と36回も呼びかけながら、問われることなく自ら語り続けます。そのことからお釈迦さまがとくに伝えたかった説法であるという解釈もされるようですね。

『仏説阿弥陀経』には、現代でも日常的に使われる四字熟語が出てきます。

・一心不乱
・三千(大千)世界
・不可思議

二文字の熟語であれば、さらに多くの常用的な言葉が登場します。意外な言葉がじつは仏教由来だったんだと気付くこともありそうですね。

このように現代語訳から仏教用語、歴史調査に写経など夏休みの自由研究の題材にもピッタリな上に、お盆経参りでも読誦される『仏説阿弥陀経』。夏休みと「お経」といえば『仏説阿弥陀経』で間違いありません。

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