シネマ感想文⑦ 〜黄金のままで

「アウトサイダー」
(1983年、アメリカ映画)

当時アメリカで人気のあったYA(ヤング・アダルト)小説でベストセラーとなったS・E・ヒントンの同名小説をフランシス・F・コッポラが映画化。出演はC・トーマス・ハウエル、マット・ディロン、ダイアン・レインの他、後に〈ブラット・パック〉と呼ばれるハリウッドの若手俳優たちが多数出演している。

この映画にはあるひとつの言葉が何度も登場し、作品の重要なキーワードになっています。

「Gold(ゴールド、黄金)」

16歳の少年ジョニー(ラルフ・マッチオ)が感じた〈Gold〉とは何だったのか?
作品の名シーンと共に〈Gold〉の意味を探ってみることにします。

ポニーボーイ(C・トーマス・ハウエル)とジョニーの二人が街から逃げ、古い教会に身を潜めて過ごしていたとき、丘の上で美しい朝焼けを眺めながら、ポニーボーイがロバート・フロストの詩を暗誦します。

「Nothing gold can stay」
(黄金のままではいられない)

萌えいずる緑は黄金
うつろい易き色よ
萌えいずる葉は花
それも一瞬
やがて葉は葉に戻り
エデンは悲しみに沈み
暁は今日に変わる
黄金のままではいられない

このとき、ジョニーはフロストの詩を聞きながら、朝焼けの〈黄金〉の輝きを美しいと感じている純真無垢な心こそ〈黄金〉だと確信したのかもしれません。

そしてラストシーン。
ジョニーが残した最期の手紙には、ポニーボーイへ、

「Stay gold」(黄金のままでいろ)

という言葉が贈られます。
フロストの詩に対するジョニーのアンサーでもあり、
「暁の輝きは黄金のままではいられないが、心の純粋な輝きは黄金のままでいろ」
そう伝えているようです。

このラストシーンに流れる音楽のタイトルも、もちろん「ステイ・ゴールド」。スティービー・ワンダーの名曲ですね。当時、この曲はレコード化されず、この曲を聴くためにVHSビデオの映画のラストシーンから曲を録音した思い出の映画音楽でもあります。

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