灯台下暗し

灯台下暗し(とうだいもとくらし)

「灯台下暗し(とうだいもとくらし)」

ー 「灯台(燭台)は灯りの周辺は明るいが灯台の下の辺りは暗い」様子が転じて、答えや肝心なことは意外と自分の身近にあってわかりにくいという意味のことわざ。

先日、あるYahoo!ニュースが話題になりました。西アジアのトルコでのこと。現地のある男性が酔っ払って森の中にいたところ、行方不明者を捜している捜索隊と出くわし、「僕も協力します」といって捜索に参加します。そして数時間後、捜索隊のひとりが「おーい、〇〇さーん」と行方不明者の名前を大声で叫んだところ、となりにいたその男性が「それ僕です」といって手をあげたという出来事ですね。どんなジョークもかなわない見事なオチが評判になったものですが、このニュースの見出しに書かれた「灯台下暗し」ということわざは、わが身にも多くの教訓を与えてくれそうです。

数年前、スーパー銭湯に行った帰りのこと。脱衣場からカウンターの前を通り、下駄箱付近までくると異常に気づきます。扉のない下駄箱に置いたはずのサンダルがありません。周りを探しますが見あたらず、代わりに色・形の似たサンダルがすぐ近くにあります。そして確信しました。誰かが間違えて履いて帰ったに違いありません。仕方がないので銭湯から自宅まで裸足で帰りましたが、それにしても下駄箱から手に取っても気づかず履き物を間違えるという「灯台下暗し」な人物がいたことに驚かされます。

その後、裸足で自宅に戻り玄関を開けると再び異常に気づきます。失くしたはずのサンダルが玄関の土間に置かれています。間違えた方が親切に届けてくれたと本気で考えましたがそんな筈はありません。やがて謎が解けました。銭湯へ出掛けるときに間違えて息子のサンダルを履いて家を出たようです。そもそも息子のサンダルを気に入り似たものを購入したので色・形はそっくりです。つまり息子のサンダルは銭湯にあります。家族に悟られないよう静かに銭湯へ引き返したことは言うまでもありません。

〈履き物を間違えた「灯台下暗し」な人物は他人ではなく自分自身だった〉これこそが「灯台下暗し」の真意といえそうです。トルコの出来事もひとり笑えない複雑な心持ちです。

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