ダブルカセットデッキ

車を走らせていると、カーラジオからビリー・ジョエルの名曲「素顔のままで」が流れてきました。

最後まで聴き終えると、この曲をカセットテープで聴いた当時のことをふと思い出します・・

この半世紀ほどの大衆音楽の歴史をハード面(録音・再生機器)とソフト面(楽曲)で辿ってみました。

するとハードの発展には2度の頂点があったことに気づきます。1度はインターネットを通じていつでもどこでも好きな楽曲を入手して聴くことができる現在。

あと1度は〈あるモノ〉が普及した1984年です。
一方でソフトの発展曲線は1980〜90年代がピーク、その中でも洋楽も流行った1984年が最高到達点といえそうです。

お気づきでしょうか。

ハードとソフトがともに頂点で重なった瞬間が1984年です。この年に登場した〈あるモノ〉こそ〈ダブルカセットデッキ〉ですね。

振り返ればこの頃、カセットからカセットに録音することを〈ダビング〉といい始めます。
新品のカセットのことを〈生テープ〉といいます。
カセットには〈A面とB面〉があり、両面を自動再生することを〈オートリバース〉といいます。
重ね録りできないようにすることを〈カセットのツメを折る〉といいます。

今となってはすべて死語です。

〈ダブルカセットデッキ〉の登場と同じ頃、レンタルレコード店が増え始めます。これによって、レコードを借りる〜カセットに録音する〜カセットを借りる〜ダビングする、という流通が盛んになり、若者にとっては数多くの楽曲を聴く機会が飛躍的に増えることとなります。

わが家の〈ダブルカセットデッキ〉もフル稼働し、ある意味わたしたちはカセットを聴くことよりも増やすことに情熱を注いでいました。そうすると単なるダビングだけでは飽き足らない者が現れます。

そう、友人が洋楽のベスト盤をダビングしてくれたときのことです。

そのカセットを自宅で聴き始めると、アーティストのヒット曲が流れます。

やがて2曲目が始まるかと思いきや、突然、友人の変な声が聞こえます。どうやら日本語しかしゃべらない変なダミ声の一切似ていない伝説のDJ小林克也さんのようなものが曲紹介をしているようです。

その後、すべての曲の間にDJ風のトークが入り、最後の1曲はテープがなくなり途中で切れるという有り様でした。

その途中で切れた曲が、車のラジオから流れてきていたビリー・ジョエルの「素顔のままで」だったんです。

このような出来事も、今となっては楽しい思い出ですね。友人たちと音楽を共有し、親交を深める機会をくれた〈ダブルカセットデッキ〉。

この御恩を忘れることはできません。

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