シルベスター・スタローンが監督、脚本、そして主演も務めたアクション映画『エクスペンダブルズ』(2010年、アメリカ)は1980年代、90年代に活躍したアクション俳優たちが大集合したアンサンブル・キャストの傑作でしたね。その顔ぶれを挙げると、
ジェイソン・ステイサム
ジェット・リー
ドルフ・ラングレン
ミッキー・ローク
ブルース・ウィリス
アーノルド・シュワルツェネッガー
加えて続編『エクスペンダブルズ2』(2012年、アメリカ)では、敵役にジャン=クロード・ヴァン・ダムが登場。さらにチームが危機に陥るとどこからともなく現れ、彼らを救うと颯爽と去ってゆく神出鬼没で老練なベテラン傭兵を演じていたのがチャック・ノリスでした。
チャック・ノリス?なぜ彼がこんな良い場面で登場するの?と感じた方も多かったかもしれません。チャック・ノリスといえば名作『ドラゴンへの道』(1972年、香港)でブルース・リーと決闘した武術家であり、その後にB級アクション映画に何度か主演していた俳優だよね。と思われた方は大きな誤解をされているようです。
著名な武術家だったチャック・ノリスさんは名優スティーブ・マックイーンの強い勧めで36歳で俳優に転身。端役からスタートし、やがて独立系映画製作会社の草分けであるキャノン・フィルムズの低予算映画いわゆるB級アクション映画に立て続けに主演し、自らも制作や脚本に携わりながらキャノン・フィルムズの黎明期を支え続けた努力の人です。そんな彼の代表作といえば、
『デルタ・フォース』
(1986年、アメリカ・イスラエル)
監督 メナヘム・ゴーラン、出演 チャック・ノリス、リー・マーヴィン、他。人質救出を任務とするアメリカ陸軍特殊部隊デルタ・フォースの活躍を描くアクション映画。
この作品には低予算だからこそのアイデアと工夫がふんだんに盛り込まれています。撮影はほとんどイスラエルで行われており、中東を舞台にした物語に自ずと臨場感を醸します。もちろん映画に登場するC-130輸送機はイスラエル軍から貸与された本物。さらには往年のアカデミー賞俳優をキャスティングして人間模様に深みを与えます。そして何より主演のチャック・ノリスは実際に元軍人で武術家。銃火器の扱いも丸腰での格闘シーンも迫力満点です。さすがに映画『ランボー』シリーズには火薬の量で見劣りしますが、アクション映画としての面白さではまったく引けをとらない傑作でした。
B級アクション映画の底力を見せつけてくれたチャック・ノリスさん。彼の努力と人柄をリスペクトしていたからこそ、盟友スタローン監督は『エクスペンダブルズ』の中で最高の役どころを用意したんでしょうね。
2026年3月19日に他界されたチャック・ノリスさんのご冥福をお祈りします。合掌




