ジャータカ物語

お子さんやお孫さんに、昔話や童話を読み聞かせしようと「むかしむかし、あるところに・・」と始めてみたところ、子どもたちから「その話はいっぱい聞いたからもういい!」なんて言われてしまったことはないでしょうか。そんなときにおすすめしたいのが仏教の童話ですね。私たちが信仰する仏教にも素晴らしい童話があるんです。今回は意外と知られていない仏典童話集『ジャータカ物語』について紹介してみることにします。

『ジャータカ物語』とは、お釈迦さまが前世において菩薩であられた時代に、人や動物の姿になってさまざまな善行を積んで衆生を救われたエピソードを集めた仏教説話集のことで、散文と韻文からなる574の物語があり、紀元前3世紀頃に成立したとされています。やがて仏教の伝播に伴って『ジャータカ物語』は世界各地に伝えられ『イソップ』や『アラビアン・ナイト』などのペルシャ・アラビア寓話文学にも深い影響を与えたといわれる物語集でもあります。

この童話集の数ある物語の中でも、よく知られているのが『月のウサギ』というお話ですね。

ー 昔々、ある森にウサギが住んでいました。ウサギには猿、キツネ、カワウソの3匹の友だちがいました。あるときその4匹は一人のお腹を空かせた年老いたバラモン僧に出会います。バラモン僧は食べ物を乞いて森を歩いていたので、猿はマンゴー、キツネは肉、カワウソは魚、それぞれが食べようとしていた食べ物をバラモン僧に施しました。ところが草を食べるウサギには、バラモン僧に施せるものがありません。そこでウサギは薪となる枯れ枝などを集め火をおこしてバラモン僧に言いました。

「私はこれから火の中に飛び込みます。その焼けた肉をどうぞお食べください」

そう言うとウサギはパッと火の中に飛び込みます。ところがその炎はウサギの毛一本も焼くことはありませんでした。じつはそのバラモン僧は帝釈天の仮の姿。ウサギの命がけの慈悲の心、布施の行いに感動し、後世までその素晴らしさを伝えるために、月にウサギの姿を描いたのでした。

という『月のウサギ』のお話。子どもたちにもとてもわかりやすいですね。これが574ある物語の中のたった一つです。きっと他のお話も聞きたくなること間違いありません。

『ジャータカ物語』の書籍は、絵本、漫画、少年文庫など数多く出版されています。いつものお話に飽きてしまったお子さんお孫さんのために、仏教童話『ジャータカ物語』いかがでしょうか。

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